そう、”角栓を溶かすジェル”は既に上市されております。
角栓がボロボロと崩壊していくという花王さんの独自成分、
トロメタミン(通称トリス)を引っさげ角栓界に彗星のごとく現れた
【おうちdeエステ肌をなめらかにするマッサージ洗顔ジェル】
愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない
の長さを余裕で上回る商品名に畏敬の念を抱きつつ
1本最後まで使い切りました。
しかし、私の角栓は戦闘力53万なのでビクともしなかったのです。
ええ、分かってはいましたよ。
特徴成分は素晴らしくても、商品設計が我々向けではないと。
そう、世間的には現行品で十分な効力を発揮しているんです。
現にみんなの角栓は崩壊し、喜びの口コミが溢れているわけですよ。
でも暴走男性ホルモンDHT(ジヒドロテストステロン)由来
狂的皮脂地獄肌の角栓だって崩壊させられるはずなんです。
致死量のトロメタミンさえ投与すれば。
ですから、
トリスをもらってな、トリスをもらってな、角栓を溶かそうと思うたのじゃ
と、羅生門の老婆のような考えも当然頭をよぎったわけですよ。
しかし、天下の花王様が老婆手前の皮脂ドバオバハンに
分け与えるなど万に一もありえない。
やはり今回も自分で作るしかない。
暴力的な皮脂量と角質肥厚が織りなす
特級呪物的角栓をも溶かすウルトラCを。
では参ろう。
◆酵素ジェル
まず、標的である角栓の正体とは。
固体脂をタンパク質グルグル巻きにし、
集合体になって毛穴に突っ刺さった妖怪。
構成比は、半分以上がタンパク質、残りが皮脂。
あとは若干の死菌など。
ということならば、まずはタンパク質を攻略したい。
→タンパク質分解酵素プロテアーゼ
そして皮脂を分解。
→脂肪分解酵素リパーゼ
基本的に、これらを角栓現場に届ければいいはず。
願わくば酵素に有利な環境下で。
しかし我々の角栓は、量も頑固さも天下一品。
やみくもに塗ってたところで勝算はない。
てなわけで事前にやつらの実態を深堀りしてみようではないか。
まず角栓形成のメインであるタンパク質。
ケラチン17という少々珍しいタイプらしい。
なお、まともな角質層のそれはケラチン10であり、
のっけから異質さがプンプン匂ってくる。
このケラチン17、炎症によって産生されるタンパク質だという。
もう「やはり」という言葉しか出てこないわけだが
案の定アクネ菌が誘発している。やっぱりあいつだ。
皮脂系肌トラブル起きるところにアクネ菌あり。
事件の起きるところにコナンあり。
まあ、もっとも挑発するのはアクネ菌だけではない。
炎症系サイトカインであるインターフェロンγ(IFN-γ)などもグル。
そしてこのIFN-γ、こいつもどうしてなかなか厄介者でしてね。
タンパク質を凝集し、分子サイズをデカくする。
要するに、角栓規模拡大という悪事に手を染めていると。
このIFN-γ。アクネ菌からも誘導される。
そしてアクネ菌とタッグを組んでケラチン17を誘導する。
いうならばケラチン17の複利。
マジで複利は投資だけにしてくれ。
なんにせよもうアクネ菌はA級戦犯認定。
この通り今回もアクネ菌は厄介な存在でございました。
でも十把一絡げに悪だとは申しませんよ。
だって彼ら、4種類ほどいるじゃないですか。
今問題視しているのは、角栓観察時に捕獲されたアクネ菌限定。
まあ、ほぼ暴走D3アクネ菌と見て間違いないでしょうけどね。
炎症起こすとケラチン17ができるってんですから。
おとなしいD2はそんなことしない。
そして忘れるなかれ。
ニキビ体質の暴走D3アクネ菌は
通常人の100倍という大所帯で殴ってくる。
ああもう、結局気が付きゃいつもの黄金パターンだった。
「皮脂系肌ガチャハズレのハチャメチャ機序の紐解き」
もうこれ、角栓を溶かすとか悠長なこと言ってる段階じゃないのでは。
元凶をどうにかしろ、元栓閉めろって話なのでは。
そう、具体的には暴走D3アクネ菌集団の残滅、
そしてこいつらのエサとなる大量皮脂を止める。
言われなくても、既に対応してますよ。
イソトレチノイン(アキュテイン)服用してみたり、
アグネス照射し散らかしてみたり。
しかし、いかんせんこれは不可抗力の遺伝要素。
もはや神の領域。
こんなん、人間如きで簡単に解消できりゃ苦労してないんですわ。
食事やプチプラコスメで改善するような皮脂悩みとは土俵が違う。
ということで、我々はコツコツ根本対策と平行しつつ
量産型角栓溶かしを自転車操業でこなしていくしかないわけです。
…えっと、これ、いつ本題入るんだ?
今でしょ。
今回も前置きが長くなってしまったので
本題は首尾よくいきましょう。
ではさっさと結論から。
角栓溶かしジェル全成分
パンクレアチン、リパーゼ、アルギニン、カオリン、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル、水
それでは詳細を。
★多くの種類があるタンパク質分解酵素ですが、
今回任務を担うのはパンクレアチン。
トリプシン、キモトリプシンなどを含む酵素です。
細胞同士をつなげているコルネオデスモソームの分解もやってのける逸材。
論文を検索してみると、デスモソームにとどまらず
頑固なケラチン分解において採用されている例もあり、
アグレッシブな働きぶりが窺い知れます。
ちなみに、穏やかな働きで一般向けの酵素洗顔にも使われているのはパパイン。
パパウォッシュが有名ですな。
★リパーゼは高力価のサプリメントを使います。
★アルギニンの仕事は2つ。
①アルカリ環境でケラチンの結合を緩めるため
②酵素の至適pHにするため
(パンクレアチンpH7~9、リパーゼpH5~8なので中取って7くらいに調整)
★カオリンは、皮脂吸着、増量剤として目分量で。
★非イオン界面活性剤は、
ドロドロベタベタ皮脂になじむことで、全てを弾いて無に帰す悲劇を防ぐ。
10%くらいを目安に。
細けぇこたぁ苦手なので、こんな感じに適当に出します。
各酵素はカプセルの4分の1くらい。
(使うのは少量なので、普段は本来の消化酵素としての使い方で消費)
あとは水で、固さとpHを調整します。
(大体7ちょいのアルカリ性)
(写真はカオリン入れ忘れてます)
さっそく出来上がったこいつを鼻と頬の毛穴の目立つ部分に
クルクルせず押し込むように乗せていきます。
40℃くらいが酵素の活性では好ましいですな。浴室とかいいかも。
で、数分置いて洗い流し。
実施頻度は深刻度にもよるかと思いますが、週2~3回でいい感じです。
私レベルでも洗い流すとかなりサッパリですんでね。
そして肝心の成果はというと、
角栓溶かしジェル使用前(油脂クレンジング6回後)
これ、ブラックヘッドがだいぶ減ってる状態なんですけども
ちなみに、油脂クレンジング・角栓溶かしジェル共に
未使用時がこちら。
※すべて洗顔直後
駆逐してやる…!この鼻から一匹残らず!!が理想ではあるものの
市販品無効の頑固角栓がこれだけ減ったのなら
なかなかいい仕事していると言えそうです。
費用は1回あたり数十円くらいでしょうかね。
もっとも、イソトレチノイン飲んだりアグネスぶっ刺したりしているので
これだけの効果でないことは明示しておきます。
最後に、インフルエンサーお決まり文句じゃないですが、
「でも1つだけ注意点があって…」を付け加えておかねばなりません。
それは、
市販品で改善する人はやらないでほしい、ということ。
こじらせたオバハンが苦肉の策でこしらえたブツより
誰がどう見たって花王のトリス一択に決まってますからね。
いえね。
「ぶっちぎりな作用」が魅力的に映るために、
実際そこまで深刻ではないのに手を出して
却って悪化してしまったってな話よくあるじゃないですか。
侵襲性の高い美容医療など不要な肌なのに、
「やっぱり美容医療に頼るより自分に合ったスキンケアが一番でした」
となってしまったり。
これ、私が肌カースト底辺から全体を”逆俯瞰”できるから見えているだけで
仮に人並みの肌だったら同様にやりすぎて後悔していたかもしれません。
でも見えるからこそ敢えて書くのです。
よりよくなりたい気持ちは当然なので分かるんですが、
客観的に「自分の肌はどこのポジションか」を把握し、
自分は何をやるべき状態かを落ち着いて見極めてほしいわけです。
…と、偉そうに〆ようかと思ったら
もう1つ注意点がありました。
例のブツなんですが…
くっせぇんですわ。
あなたが思うより悪臭です。
アルギニン→洗濯物の生乾き臭
パンクレアチン→魚粉臭
まあ、なかなかの破壊力です。
やってみようと思われる方はご覚悟いただきたい。
てなわけで、毎度鼻の周りで
生乾き服と魚粉の夢のコラボレーション祭りを
開催しております。
ま、角栓チンアナゴ族にしてみたら
チンアナゴが減るのであれば、そんなの意にも介さないと思いますけどね。
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